フォアローゼズは1880年代に誕生した、世界的に人気があるバーボンウイスキーのひとつです。アメリカ・ケンタッキー州のローレンスバーグで作られており、四輪のバラが描かれたラベルが目印。

創業当時はフランスの「ペルノ・リカール」という酒造メーカー傘下でしたが、現在は、日本のキリンホールディングズの傘下になっています。

フォアローゼズはラインナップ豊かなバーボンを揃えています。原料のトウモロコシやアメリカン・ホワイト オーク樽に由来する華やかな香りと、やわらかくフルーティーな味わいが特徴です。日本では1971年に発売が開始されました。

ケンタッキー州のクリアな味わいの水

製造場所であるケンタッキー州の地盤は、「ライムストーン」と呼ばれる石灰岩の層を中心に形成されています。天然のろ過層を通り抜けた水は、ミネラルやカルシウムを多く含みます。このクリアな味わいの水は仕込みや割り水として使われ、フォアローゼズの味わいを生み出すのに重要な役割を担っています。

ある女性との出会いから生まれた

フォアローゼズの名前の由来は、創始者であるポール・ジョーンズJr.が、女性に出会いプロポーズした際のエピソードからきています。プロポーズを受ける時に目印にしたのが、「バラのコサージュ」でした。このプロポーズが実り、永遠の愛を誓ったエピソードから、ラベルには四輪のバラがデザインされ、「フォアローゼズ（Four Roses）」と名付けられました。

フォアローゼズ蒸留所は、ケンタッキー州のローレンスバーグに立地され、現在でもその蒸留所で蒸留されています。1888年から1943年の間は、フォアローゼズウイスキーは、ポール・ジョーンズ・ジュニアが設立した同名の蒸留所で製造されていました。

1919年から1933年までの禁酒法時代の間もフォアローゼズ社は、「薬用バーボン」の製造を目的にしているということで、特別にバーボンの蒸留製造を許可されていた稀な事業者の一つでした。

1943年にカナダのシーグラム社がフランクフォート蒸留製造社を再取得合併し、フォアローゼズ銘柄でバーボンの製造を開始しましたが、アメリカ国内での販売中止を決定。販路をアジアやヨーロッパに変えたことによって同地域でも瞬く間に最も売れているバーボンとなりました。

その後、2002年にフォアローゼズは日本のキリンホールディングズの傘下に入ることになりました。

原料へのこだわり

原料は、コーン、ライ麦、大麦麦芽、水、酵母（イースト）で作られています。中でもコーンは、50年以上契約しているインディアナ州の農家からクオリティの高いものを厳選。搬入されると、「グレーン・クオリティ・ラボラトリー」と名付けられた場所で、大きさ、傷みの有無、水分含有量などを厳しく検査されています。

蒸溜所では、2種類のマッシュビル（穀物の配合比率）と5種類の酵母を掛け合わせて10種類の原酒を生産しています。

「ダブラー」を使用した2度の蒸留

10数メートルの高さにそびえる連続式蒸留機「ビアスチル」でアルコール分と香味成分は純度を増した後、ユニークな形の「ダブラー」で2回目の蒸溜を行います。「ホワイトドッグ」と呼ばれる蒸溜液をテイルボックスから取り出し、アルコール度数約70％の透き通ったスピリッツの味、香り、色味がフォアローゼズにふさわしいクオリティに達しているかのテイスティングを行います。

独自の貯蔵方法

蒸溜液はアメリカン ホワイトオークの新樽に詰め、熟成庫に送られます。クロッキングという職人技によって、必ず栓が上を向くようにラックに樽を納めていきます。ここでポイントとなるのは、他のバーボンとは異なる貯蔵方法です。

ケンタッキー州で作られるバーボンは、通常8階建ての貯蔵庫に寝かせ、各階ごとの温度差を利用して熟成の工程を行います。しかし、フォアローゼズは、1階建ての貯蔵庫のみで熟成。そのため、熟成の期間は通常5～8年がかかり、ときには10年以上の期間をかけて作られています。

熟成のピークへ向かう長い眠りの時間を経て、フォアローゼズならではの味と香り、美しい琥珀色が醸成されていくのです。